秋の訪れと共に、船の両サイドから長い竿を張り出し、5〜6本の疑似餌を流しながら群をさがし回っている曳釣りの光景を見かけるようになると、カツオ、ヒラマサ、マグロ等の回遊魚が沖合に姿を見せ始め曳釣りシーズンの到来となります。

 秋田と青森との県境いで、沖合30km程に在る久六島は、県内随一の魚の宝庫であり、マグロ釣りのポイントとして良く知られています。シーズンともなると、能代、岩館、艫作等の漁港からたくさんの釣り船がくり出し、島はマグロねらいの多くの船が、夜灯を付け夜明けを待っています。

 釣り方は、10mの竿を両サイドに60度程傾け、途中にバクダンウキとビシマを使い、船から100m離して疑似餌を流します。船速は2000回転、やや速めのスピードを保ちます。疑似餌はカグラがメキシコ貝、夜光貝、真珠貝等を使い、ベイトはサイズ4〜4.5号のピンク色、半青色、アズキ色に鳥の羽を2〜3本使用、又は鳥の羽と魚皮を組み合わせたものを使います。 夜明けと共に島の周りを曳き始めますが、潮目や鳥山は絶好のポイントとなります。一度鳥山が立とうものなら、一斉に鳥山の回りに多くの船が殺到し、獲物を狩り取る殺気立った世界へと変貌します。その異様なまでの光景は、時として極度の緊張を伴い、いやが上にもテンションが上がります。

 マグロの当たりは、バクダンウキが海面から浮き上がり、竿が海へ突き刺さる程に半月状になります。早々に船を減速し取込みを始めますが、強烈な引きとずっしりとした重量 感は、まさに海の勇者にふさわしい手ごたえです。緊張と興奮を押し殺し、慎重に慎重に取り込みをします。キャフを掛け、釣り上げた喜びと満足感は、釣り人をしてさらなる夢を、海へ、マグロへ、と駆り立てる魔性を感じます。

 大物ねらいの釣人よ、久六島へ来たれ!夢は久六島にあり。

 
「秋田釣り歳時記」のTOPへもどる